Other metals/rare metals, etc. その他の金属・レアメタル等
タングステン・モリブデンのほかにも様々なレアメタルや金属材料、SUSやセラミックスなどを岳石電気では利用しています。
1.プラチナ(白金)
プラチナリング
概要
プラチナは、高比重の金属で、非常に化学的に安定しており耐酸性、耐食性に優れた素材です。気体中の熱伝導を白金線の抵抗値の変化としてとらえ、それを利用して圧力を計測する、ピラニー真空計のフィラメントに使用されています。また、触媒としても自動車の排気ガスの浄化をはじめ多方面で利用されています。異部材接合でのロウ材として使用する場合も有ります。 また、プラチナは比較的アレルギーを起こしにくい貴金属で、ジュエリーに利用されている他、医療用部品にも利用されます。
岳石電気では主にガスセンサー用のフィラメントや、医療用のコイルなどに使用しています。これらは微細なものが多く、弊社の独自技術により、様々な形状、大きさのコイル加工が可能です。
プラチナ(白金)の基本物性
項目名 | 単位等 | 内容 |
---|---|---|
原子番号 | 78 | |
原子量 | 195.084 | |
面心立方格子構造 | 92,94,95,96,97,98,100 | |
結晶構造 | 体心立方格子構造 | |
融点 | 単体 | 1768℃ |
沸点 | 単体 | 3825℃ |
密度 | g/cm3 | 21.45 |
電気抵抗 | nΩ·m | 105(20℃) | 熱膨張率 | µm/(m·K) | 8.8(25℃) |
ヤング率 | GPa | 168 |
モース硬度 | 4-4.5 | |
ビッカース硬度 | MPa | 549 |
剛性率 | GPa | 61 |
ポアソン比 | 0.38 | |
磁性 | 常磁性 |
岳石電気での製造例
分析機器用の白金コイル(先端部)を溶接した製品
2.レニウム
レニウムリボン外箱
概要
レアメタルの一種ですが極めて生産量が少なく希少な金属とされています。単一元素の中でも最も硬い金属で、密度もタングステンより高密度です。融点が高く、高温下での使用に適しています。岳石電気では分析機器用の電子源に使用されるフィラメントとして使用します。また、これらのフィラメントをタンタルやモリブデンなどの支柱と溶接し、Assy品として供給することも可能です。
レニウムの基本物性
項目名 | 単位等 | 内容 |
---|---|---|
原子番号 | 75 | |
原子量 | 186.207 | |
融点 | 単体 | 3186℃ |
沸点 | 単体 | 5596℃ |
密度 | g/cm3 | 21.02 |
電気抵抗 | nΩ·m | 193(20℃) | 熱膨張率 | µm/(m·K) | 6.2 |
ヤング率 | GPa | 463 |
モース硬度 | 7.0 | |
ビッカース硬度 | MPa | 2450 |
剛性率 | GPa | 178 |
ポアソン比 | 0.3 | |
磁性 | 常磁性 |
岳石電気での製造例
分析機器向けのレニウムコイル(芯線付きの状態)
コイル径0.1mm、コイル長0.8mm程度の極小さいコイルです。
3.ニオブ
ニオブワイヤー
概要
高融点金属の一種ですが、金属としては、より軟らかく展性・延性に富み、加工しやすい材料です。通常は鉄鋼添加剤としての用途が多いですが、岳石電気では1%のジルコウムを添加したニオブ材を主にセラミックメタルハライド用電極の1部材として使用しています。主な理由としては発光管(アルミナ)と熱膨張係数が近いことから封止材となるためです。ゲッター作用があり、水分や水素を吸収しやすいので処理については注意が必要な材料です。
ニオブの基本物性
項目名 | 単位等 | 内容 |
---|---|---|
原子番号 | 41 | |
原子量 | 92.90638 | |
結晶構造 | 体心立方格子構造 | |
融点 | 単体 | 2477℃ |
沸点 | 単体 | 4744℃ |
密度 | g/cm3 | 8.57 |
電気抵抗 | nΩ·m | 152(0℃) |
熱膨張率 | µm/(m·K) | 7.3 |
ヤング率 | GPa | 105 |
モース硬度 | 6.0 | |
ビッカース硬度 | MPa | 549 |
剛性率 | GPa | 38 |
ポアソン比 | 0.4 | |
磁性 | 常磁性 |
岳石電気での製造例
ニオブ(1%Zr入り)ピン 熱処理前の品物なので色がくすんでいます
この材料に関する情報
4.タンタル
試作用タンタルプレートとタンタル部品
概要
タンタルは、耐熱性(融点3017℃)、耐食性、耐酸性に優れた金属です。ゲッターとしての機能も持つ、非常に希少で高価な金属です。また安定したその性質によりアレルギーなどの体に対する影響が非常に少ないのでインプラントや人工骨などの医療部材としても使用されています。岳石電気では、分析機器や、医療部材として、また医療分析用電子銃のベースである純アルミナにタンタル棒をメタライズし、支柱材として使用したりしています。
タンタルは、切削などの加工では非常に条件出しが難しい材料ですが、岳石電気ではご要望に応じた微細加工も行っております。
タンタルの基本物性
項目名 | 単位等 | 内容 |
---|---|---|
原子番号 | 73 | |
原子量 | 180.94788 | |
結晶構造 | 体心立方格子構造(α-Ta) | |
融点 | 単体 | 3017℃ |
沸点 | 単体 | 5458℃ |
密度 | g/cm3 | 16.69 |
電気抵抗 | nΩ·m | 131(20℃)) |
熱膨張率 | µm/(m·K) | 6.3(25℃) |
ヤング率 | GPa | 186 |
モース硬度 | 6.5 | |
ビッカース硬度 | MPa | 873 |
剛性率 | GPa | 69 |
ポアソン比 | 0.34 | |
磁性 | 常磁性 |
この材料に関する情報
5.イリジウム
金属中でもっとも高比重の金属の一つで、融点も硬度も高い金属です。常温での加工が非常に難しい材料としても知られています。耐食性や耐摩耗性にも優れており、宝飾品などにも近年では使用されています。岳石電気では、分析機器用電子源のフィラメントとして使用しています。
イリジウムの基本物性
項目名 | 単位等 | 内容 |
---|---|---|
原子番号 | 77 | |
原子量 | 192.217 | |
結晶構造 | 面心立方格子構造 | |
融点 | 単体 | 2466℃ |
沸点 | 単体 | 4428℃ |
密度 | g/cm3 | 22.56 |
電気抵抗 | nΩ·m | 47.1(20℃) |
熱膨張率 | µm/(m·K) | 6.4(25℃) |
ヤング率 | GPa | 528 |
モース硬度 | 6.5 | |
ビッカース硬度 | MPa | 1760 |
剛性率 | GPa | 210 |
ポアソン比 | 0.26 | |
磁性 | 常磁性 |
岳石電気での製造例
分析機器用のイリジウムフィラメントコイル(極小コイル)
6.チタン
チタン製ゴルフクラブ
概要
チタンは比較的ありふれた元素で、酸化チタンは光触媒として良く耳にすると思います。純チタンも大気下で表面に非常に緻密で強固な酸化皮膜が生成されます。そのため表面に傷ができても瞬時に酸化皮膜が自己補修されるため、いつまでも耐食性が維持されます。
また、生体親和性が高く骨に同化しやすい材料であり、またアレルギーを起こしにくい材料であるため、医療用部材に幅広く使用されます。 強度が高いわりには比重が軽いため、ゴルフクラブのヘッドや飛行機などの材料にも使われています。
チタンの基本物性
項目名 | 単位等 | 内容 |
---|---|---|
原子番号 | 22 | |
原子量 | 47.867 | |
結晶構造 | 面心立方格子構造 | |
融点 | 単体 | 1668℃ |
沸点 | 単体 | 3287℃ |
密度 | g/cm3 | 4.506 |
電気抵抗 | nΩ·m | 420 |
熱膨張率 | µm/(m·K) | 8.6(25℃) |
ヤング率 | GPa | 116 |
モース硬度 | 6.0 | |
ビッカース硬度 | MPa | 970 |
剛性率 | GPa | 44 |
ポアソン比 | 0.32 | |
磁性 | 常磁性 |
岳石電気での製造例
歯科用インプラントの試作品
この材料に関する情報
7.ニッケル
ニッケルワイヤー(硬線)
概要
タングステン、モリブデンなどと比較すると低いですが、一般的には融点は1453℃と高く、腐食と酸化に対する耐性を持つ材料です。非常に延性が高く、合金化が容易なのも特徴です。触媒特性、電気めっきで被覆が可能です。岳石電気では照明用の部品としてリード線などに使われるほか、医療用材料としてはカテーテル用材料として、Ni-Ti合金を使用します。また、ヘビーアロイの添加金属としても欠かせない金属で、粉末Niとして利用しています。
ニッケルの基本物性
項目名 | 単位等 | 内容 |
---|---|---|
原子番号 | 28 | |
原子量 | 58.6934 | |
融点 | 単体 | 1455℃ |
沸点 | 単体 | 2913℃ |
密度 | g/cm3 | 8.908 |
電気抵抗 | nΩ·m | 69.3(20℃) |
熱膨張率 | µm/(m·K) | 13.4(25℃) |
ヤング率 | GPa | 200 |
モース硬度 | 4.0 | |
ビッカース硬度 | MPa | 638 |
剛性率 | GPa | 76 |
ポアソン比 | 0.31 | |
磁性 | 強磁性 |
岳石電気での製造例
ニッケルとモリブデンの溶接品
8.その他の材料
タングステン・モリブデン、及び上記の金属の他にも、比較的良く使用する材料について触れておきます。
8-1.Ni-Ti合金(ニッケルーチタン 形状記憶合金)
概要
チタン同等の耐食性、耐摩耗性を持ちながらさらに大きな形状回復力を持つ材料です。岳石電気ではカテーテルガイドワイヤー、ガイドコイルなどに使用しております。
ニッケルチタンワイヤー
ニッケルチタン製のコイル部品
8-2.コバール(Kov)
コバールピン
これをフォーミング加工してガラス等の封じ部に使います
概要
コバールはFe約54%,Ni29%,Co17%が主成分の材料です。常温での熱膨張率が低いため、硬質ガラスの封着用に主に用いられますが、岳石電気では分析機器のコアパーツである電子銃の部品となる、アルミナベースを支える支柱や、センサ用部品などに使用しています。
この材料に関する情報
8-3.ステンレス系(SUS)
SUS 304系ワイヤー 医療用コイル等に良く利用します
概要
医療機器、車両、厨房機器、一般科学設備など非常に広範囲な分野で使用される材料です。岳石電気では特に医療用部品としてSUS304LをガイドワイヤとしてNi-Ti合金と共に使用しています。
この材料に関する情報
8-4.セラミック系
アルミナ粉末
概要
電子銃やランプフィラメントのベース材料として、絶縁性が高く、高温に耐えうるセラミック材料は良く使用します。
特に、アルミナ(Al2O3)が岳石電気では良く使われます。酸化アルミニウムの総称でアルミニウムの最終酸化形態の物質です。化学的に安定しており、非常に硬く、耐熱性が高く(一般的な純アルミナで約2000℃以上)、また高い絶縁性も持っているため、研磨剤のほか、耐火物、対磨耗材、自動車用触媒基材など汎用的に使用されています。
岳石電気ではアルミナ粉末とMo粉末とを混合し、焼結したサーメットと呼ばれる材料を自社で生産しています。また、分析機器のコアパーツである電子銃を支えるベースとしての用途もあり、さらに、これらの部品の焼結、加工、金属との溶着(ガラス、メタライズ)なども行っております。
焼結工程で利用するアルミナ坩堝やセッター
8-5.ポリエステル銅(PEW)
ポリエステル銅ワイヤー
概要
銅にポリエステルの皮膜がされているマグネットワイヤーです。電気部品などコイル用として利用しています。
ポリエステル銅のコイル