形状記憶合金コイル
皆様お久しぶりです。技術課の川上です。
今回は、形状記憶合金の代表格であるNi-Tiをコイリングしてみましたのでご紹介致します。
Ni-Ti 合金 は一般的に形状記憶合金として知られており、変態点以上の温度では、変形を受けてもすぐさま元の形状を回復する性質を持っています。
また、Ni-Ti合金は、生体適合性 、疲労特性,耐腐食性 にも優れているので 医療でガイドワイヤーやステント等として利用されています。特徴としてもうひとつが 超弾性を有している事です。
コイルを作成するにはこの超弾性が悪さをします。一般的な金属ワイヤーであれば、丸く巻いていくとその有る程度はその形が付きますが、Ni-Tiワイヤーは超弾性が故に巻いてもコイルバックして元の素線状態に戻ってしまいます。
そこで、コイリングをした後に高温にて熱処理をする事で形状を記憶させる事が可能ですが、熱処理を工夫しないと綺麗な形状が付きません。
さらにコイリングしたものに立体的な形状を付ける事も可能です。
以下は私がテスト的に作成してみたものを実演しておりますのでご覧ください。
素線径:φ0.29 外径:φ1.6 のコイル
上記のコイルをブタのしっぽ状に形状記憶
しっかり形状記憶されている様子を動画にて撮影してみました↓
動画ではコイルを引っ張っても元の形に戻る場面も有りますが、実際にどの程度までなら復元するのかを試してみましたが、2倍以上まで伸ばしてもお湯に漬ければ元に戻りました。それ以上伸ばしてしまうと元には戻り切りません。調べてみると以下の情報が有りました。
「 金属結晶構造が変わってしまうほどの極端な変形、または結晶構造が崩れるほどの高温を加えると、この弾性が損なわれれてしまう。」
いくら形状記憶合金と言ってもさすがに限界が有る様です。
動画で紹介したコイルは 11/29(水)~12/1(金)に開催される【高精度・難加工技術展】(西2ホール K-56) にて展示致します。手に取って現物を確認してみたいなど、ご興味の有る方は是非ご来場ください!その他に扁平に巻線したものなども展示予定です‼