タングステン焼結とルアー製造
昨日、岳石電気が製造するルアーのブランド、ヘビーソースのホームページに新しくルアーが追加されました。
名前は「コルド サクラ」。
サクラマスを釣る為に作られたルアーです。ルアーの詳細はヘビーソースのHPに譲ります。
なぜ岳石電気でルアーをつくっているのか、というと、このルアーの製造工程が、放電灯の特殊タングステン電極や多孔質タングステン製造、また、アルミナ-モリブデンサーメット等の岳石電気の電子部品材料と同じ工程・設備だから。
もちろん、材料が異なれば、細かい条件は異なります。ただ、「粉末材料」を「焼結」して製造する。と言う意味では似ています。焼きあがる前は下の写真の様に真っ黒な塊。(写真はPOW)
これを何十時間も焼き上げます。(焼結)焼きあがったばかりだと、ひらっぺたい光沢の無い板です。
これをここから熱しながらプレスして、磨いて、メッキかけて、色を塗って・・・・で、最初の写真のような綺麗なルアーになります。
このルアーは、実際にはタングステンではなく、タングステン合金です。タングステンに微量のニッケルなどの金属を混ぜたものを焼結してつくります。こうすることで焼結(焼き固まる)温度が低くなり、また防腐性などが上がります。
タングステンの焼結は非常に時間がかかり、温度も高く、
水素雰囲気で行うことからどうしても高コストになってしまいます。ジグなどのタングステン合金ルアーを発売している会社はいくつもありますが、国内で全て製造しているのは、岳石電気以外にいないと思います。理由は技術力の問題よりも、コストの問題です。
タングステンのパウダーは、ほぼすべて中国産。日本に輸入すると税金等で非常に高価になってしまいます。また日本は電気代が高く、水素などの価格も高い。そのため、現在では、特殊で高価な産業用部品以外、タングステン製品を完全に国内で生産する会社はいません。
岳石電気では、ものづくりの遊び心を大切にしたいと思っています。タングステンのスプーンなど、コストが高すぎて馬鹿馬鹿しくて誰も作らない。だから、産業用部品の生産の合間を縫って、「あそんで」います。
この「あそび」で作ったルアーで、「わかる人」に遊んで楽しんでもらいたいですね。