ポイントフィラメント開発
開発担当:開発部 金野
テーマ: ポイントフィラメント開発
開発の背景
走査型電子顕微鏡(SEM)は卓上型や低真空型、汎用的なものから高性能な高分解型まで様々なものがあり、これらの装置には電子を発生させる材料としてタングステン等の細線が使用されている。当社では照明用のフィラメント作製技術(巻線や熱処理)を生かし、熱電子銃用のタングステンフィラメントを製造している。SEMの分解能は電子のスポット径で決まるとされているが、現在製造しているタングステンは図のようなヘアピン型であるためにスポット径が大きく分解能が高くない。高分解能の電解放出型は図のような先端の尖った針状(ポイントタイプ)に加工しなければならず、さらに単結晶のタングステンを使用しているため非常に高価である。
そこでヘアピンタイプに使用されているタングステンを針状に加工して、現行品よりも高分解能で安価な熱電子銃用のタングステンフィラメントを製造する技術を開発する。また、ヘアピンタイプは断線した時点で使えなくなるが、ポイントタイプは徐々に消耗していくためヘアピンタイプよりも長寿命化できると考えられる。
開発品スペック
先端の形状はR=15um程度
線径<0.15mm
開発の進捗内容
加工後の先端は15um以下を達成
ポイント・苦労点・その他
<ポイント>
先端には単結晶タングステンではなく、配線/ヒーターに使用している線材を使用
様々なワイヤー径が使用可能
<苦労した点>
先端のザラつきを無くして鋭利に尖らせること。 作り方によってはクレーターのような凹みができたりします。
非常に細い線なので接合部に力がかかると折れてしまう。薬液が入っている容器の淵にぶつけて折れてしまったことも。今後はより強固に接合できるよう改善していく。