技術情報
開発レポート
モリブデン(Mo)-ルテニウム(Ru)ろう材
お疲れ様です。開発を担当している森です。
東京五輪開幕まで1週間となりました。選手の皆さんは、新型コロナへの対策も考慮しつつベストを尽くさなければならないので大変だと思います。頑張ってほしいですね。応援しています!
今回、モリブデン‐ルテニウムろう材を造ってみましたので、簡単に紹介させていただきます。このろう材は融点が高いため、高融点金属同士の接合(ろう付け)に使用されますが、市販されていないため、独自に材料を調達する必要がありました。一般的には次のような状態図がありますので、こちらを参考にしました(長崎誠三、平林眞、二元合金状態図集、アグネ技術センター)。
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作製したろう材を用い、タングステン同士のろう付けを試みましたので紹介させてください。実際のところ、なかなかうまく出来ませんでした。この写真はCCDカメラによって観察したものですが、接合部に大きな隙間が生じてしまった失敗例です。なお、写真左側は多孔質タングステンです(これ以降の写真も全て同様です)。
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この写真は成功例です! 写真中央が接合部なのですが、ろう材の状態が非常に分かりにくいため、SEMで観察してみました。
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これはSEMによる反射電子像です(CCD画像よりも拡大しています)。ろう材によって隙間なく接合できていることが分かります。接合部の色味の変化が分かりますでしょうか。接合部をより明確にするために、マッピング分析によって元素の分布状態を視覚化してみました。
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これが元素マッピングの結果です。接合部が明確になりました。左側は多孔質のためか、ろう材が拡散しているのでしょうか。
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引き続き研究開発を進め、モリブデン-ルテニウムろう材の応用範囲を広げて行きたいと思います。接合に関するご相談もお待ちしております。
2021-07-16