3Dプリンターについて
開発を担当している森です。
先日、東京ビッグサイトで開催されている展示会に行ってきましたが、会場で3Dプリンタの開発技術者と少しお話しすることができました。
2年ほど前から国内の産学官が一体となって次世代の産業用3Dプリンタの技術開発を行っているそうで、世界最高水準の造形速度、造形精度を目指し、平成31年末までに装置の販売を開始する計画となっているとのことです。
光源としては、次の2方式で進めているそうです。
・レーザービーム(LB)方式
・電子ビーム(EB)方式
お話しすることができたのは後者の技術者の方でした。
LB方式は熱変換効率が材料の反射率に左右されますが、EB方式はエネルギーの80%以上が熱に変換されるため高効率で、かつ高速スキャンが可能とのことです。その特性上、超高真空下で使用する装置のようですので、弊社が長年取り扱っているタングステン(W)などの高融点金属に対してメリットがあるのでは、と思いました。
電子銃について聞いたところ、六ホウ化ランタン(LaB6)を使用しているとのことでした。電子顕微鏡(SEM)にもLaB6電子銃が使用されています。LaB6の特徴として、Wフィラメントに比べて、高輝度、長寿命であることが挙げられますが、価格が高いという声をよく耳にします。今回も価格を下げたいとのお話がありましたので、やはり皆さんお困りのようです。目標とするエミッション電流は100mA、寿命は1000時間とのことです。
高輝度、長寿命の観点で、弊社にもご提案可能な技術はあるのですが、いまのところ実機で試したことが無いため、非常に興味深い内容でした。LaB6についても今後取り組む必要があるかもしれません。
展示会では、企業のホームページやカタログにはない、技術者の「生の声」を聞くことができます。今後も積極的に出向いて、正しい情報を収集し、技術開発に役立てて行きたいと考えています。